紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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  <紀伊半島の巨木を訪ねる>

 三重県津市西丸之内 古河の大イチョウ

 三重県津市西丸之内の「古河の大イチョウ」は、「監物の大イチョウ」とも呼ばれている。津市役所の近くの道路沿いにやや傾斜した姿で生育している。この大通りは交通量が多く、巨木にとって排気ガスと舗装に囲まれた過酷な環境であり、はやりの言葉を使えば、「根性大イチョウ」とも言えるだろう。

 なぜ、「監物の大イチョウ」と呼ばれるのか。それは、この大イチョウが江戸時代に、藤堂藩の重臣である藤堂監物の屋敷にあったためにそう呼ばれた。藤堂監物は、 明治3年の藩制改革の時に、旧軍隊が解散され、新軍隊が編成された時に、平民兵の方が先に編成されたことを不満として、旧士隊を代表して明治政府の大参事に建白書を提出した(いわゆる監物騒動事件)が受け入れられずに、27歳の若さで自刃して果てたそうである。

 この大イチョウの樹齢は、約400年と言われており、江戸時代から明治時代にかけての歴史の転換期、津城が取り壊された時、第2次大戦により津の街が空襲で焼かれた時、そしてこの巨木にも火の粉がふりかかったかもしれない過酷な歴史をも生き抜いて来た。

 現在は、この通りには街路樹として多くのイチョウの木が植えられ、晩秋になるとイチョウのみごとな黄葉が平和な街のたたずまいをかもしだす。
 
(写真をクリックすると拡大します)
 大イチョウの全体像。少し右側に傾いている。この通りの街路樹はイチョウであり、黄葉の季節には、この大イチョウを筆頭に美しく着飾る。
 幹には、恐らく車による傷が付いて窪んでいる。そのせいか、大イチョウを保護するためのガードレールが設置されている。 
 冬の大イチョウの枝振りをみると、荒々しい姿をしている。生育に良好とは言えない周辺環境に立ち向かっているかのように見える。
 大イチョウの幹には、幾つか虚(うろ)が空いていて、森林に生えていればフクロウなどの巣になりそうだが、ここでは、巨樹の空洞化といたみを表している。

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